「幸福の科学」以上に幸福を科学した本です。
教育のゴールを自由の拡張としたときに、そのさきにある幸せにはどのようにたどり着くのかを考えるために、読みました。
書評・感想
おすすめ度:★★★★☆
幸福論について知りたい人、データが好きな人におすすめです。
哲学的に幸せにアプローチするのではなく、データをもとに理解を深めていく内容です。
前半では、happinessやwell-beingの議論など幸福学の流れに関しても説明されています。
後半では独自のアンケートをもとに幸福に重要な4因子を紹介しています。
紹介された4つの要因に関しては違和感もない一方で、あまり目新しさもないと思ったのが正直なところです。
今回の研究で紹介された、自己実現、つながり、楽観、自分らしくという4つの要素は驚くほど計画された偶発性理論の5つの姿勢に似ています。
好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心で、やはりチャレンジ精神や楽観性は重要度が高いのだと再確認しました。
前半はなかなか重く、読むのに少し時間がかかりましたが、後半は軽めですらすら読めます。
幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 (講談社現代新書)を見る
要約・読書メモ
- GDPが増えても生活満足度は上がっていない
- ロボットで人間を理解しようとしていた
- それよりも人間の心を明らかにしたいと考えた
- 幸せ研究を体系化したい
- 認知科学や心理学を援用
- 幸せの意味
- 幸福(長期)と快楽(短期)
- happyは短期的なものも示す
- ウェルビーイング≒幸福、福利、健康
- well-being study = 幸福学
- 主観的幸福と客観的幸福がある
- 幸福度、人生満足度尺度(質問を変える
- 主観的な幸福を客観的に処理する
- 幸福(長期)と快楽(短期)
- ポジティブ心理学
- 心理学はもともと病気や悩みの解決
- それに対して、ふつうの人の生活をよりポジティブにする
- 幸福は目指すべきものか?
- メカニズムを知る
- 幸福研究が増えてきた
- 経済成長では幸せにならない
- 幸福と関係するもの
- 経済はよくなると、幸福度も上がる傾向
- 統計は言語や年代、国・地域に影響を受ける
- 幸福との相関が高いのは、健康・信仰・結婚の3項目
- 健康だと思っているかどうか
- 信仰はアメリカだと重要、日本ではあまり
- 結婚は既婚の方がいいが、離婚すると未婚よりも下がる
- 幸福度は子供の誕生後に低下し続ける
- フォーカシング・イリュージョン
- 間違ったことに焦点を当てる
- 感情的幸福は7.5万$を超えると比例しなくなる
- 年収が一定程度になると、感情的幸福が上がらなくなる
- それでも人生満足度は年収に比例して上がる
- 一定程度までは低次の欲求(生理的・安全など)を満たすのに有効だという考えも
- 周囲と比較可能な地位財(所得、地位、もの)、非地位財(健康、自由)、その間の結婚
- 地位財にフォーカスするのは、その方が勝ち残れるから
- バランスが重要
- 実は自由時間は少ないほど幸せ
- カレンダー◯✕法で自分の幸せを知る
- ピークエンドの法則:結局、ピークとエンドしか覚えていない
- プロスペクト理論:損失を回避したい
- 幸せの因子分析
- 多変量解析した
- 心的要因のみをアンケート対象
- 心的要因以外はコントロールしにくい(環境とか
- 非地位財が多い
- 第一因子 やってみよう因子(自己実現と成長)
- コンピテンス
- 社会の要請
- 個人的成長
- 自己実現
- 第二因子 ありがとう因子(つながりと感謝)
- 人を喜ばせる
- 愛情
- 感謝
- 親切
- 第三因子 なんとかなる!因子(前向きと楽観)
- 楽観性
- 気持ちの切り替え
- 積極的な他者関係
- 自己受容
- 第四因子 あなたらしく!因子(独立とマイペース)
- 社会的比較思考のなさ
- 制約の知覚のなさ
- 自己概念の明確傾向
- 最大効果の追求
- 幸せのクラスター分析
- 5種類のグループ
- 基本的には満たしているものが多いほどhappy
- 時代や国によって変わる
- やってみよう因子
- 自分の得意なことを伸ばす楽しみ
- オタク・天才・達人を目指せ
- みんなが多様な夢を実現する
- ありがとう因子
- たくさんの友人よりも多様な友人を
- なんとかなる!因子
- そこそこで満足する人の方が幸せ
- 日本人はセロトニンが少ない
- 笑顔を作る、上を向く
- ピグマリオン効果:期待された通りの成果を出す傾向がある
- あなたらしく!因子
- 人の目を気にしない
- 変人になろう
- 守・破・離
- 幸福の単純モデル
- 幸せな人と社会
- 性格がいいほど幸せ
- 年齢が上がるほど性格がよくなる
興味がある方はこちらからどうぞ。
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